不安障害がある人は、日々の生活を送るなかで過度の不安を抱えながら生活しています。
症状や必要とするサポートは人それぞれです。
これまで、不安障害がある人に接したり、働き方に関して相談を受けたりしたことがない採用担当者様は、どのように接するのが正解なのか大変悩むところだと言えるでしょう。
この記事では、不安障害がある人に向いてる仕事や働きやすい環境づくりのコツについて解説します。
他の特性を持つ人に向いてる仕事にはどのようなものがあるか、興味がある場合は以下の記事もぜひ参考にしてください。
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目次
不安障害とは
不安になること自体は、誰しもが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
不安障害とは、さまざまな病気をまとめた言葉です。
たとえば、将来のことを考えると不安で仕方ない、大切なイベントが近づくと緊張して夜も眠れなくなるといった症状が出たとします。
症状が一時的なものであれば、不安障害とは言えません。
不安障害になると、物事や状況に対して大きな不安や恐怖を長期間感じるようになったり、繰り返したりするため、日常生活に支障をきたすようになります。
代表的なものは以下のとおりです。
- パニック障害
- 社会不安障害
- 強迫性障害
- 全般性不安障害
これらの病気の多くは、はっきりとした原因が分かっていません。症状は人によって異なります。
また、どの病気に該当するのかによって職場が配慮すべき内容が変わってくるので注意が必要です。
不安障害がある人に仕事を提案する際の注意点
不安障害がある人に仕事を提案する際は、その人にとって働きやすい条件を満たしている、あるいは近い仕事を提案するようにしましょう。
ここでは、仕事を選定するポイントをご紹介します。
規則正しい生活が送れる仕事なのか確認する
不安障害がある人はストレスを溜めやすいため、初めから残業が発生することが分かっているような業務量が多い仕事は提案しないようにします。
残業が多かったり、徹夜したりすると誰でも心身共に疲れてしまうものです。
特に不安障害がある人はストレス耐性が低い人が多いため、病気の症状を引き起こしてしまうことに繋がる可能性も高いと言えます。
夜勤やシフト制の仕事ではなく、日勤で働ける仕事を提案するといいでしょう。
時差出勤や在宅勤務は可能なのか確認する
不安障害がある人の多くは、出勤時や帰宅時に「無事に目的地に着けるか」といった不安を抱えています。
たとえば、パニック障害と診断されている人であれば、通勤途中の電車内で「発作が出て周りに迷惑をかけてしまったらどうしよう」といった不安と闘いながら出社しているわけです。
発作が出てしまうと始業開始時間に遅れてしまうことも考えられるため、余裕を持ってかなり早めに家を出ている人も少なくありません。
時差出勤や在宅勤務ができる仕事が提案できれば、不安障害の症状を引き起こすきっかけを減らすことができ、病状も落ち着くことも十分考えられます。
不安障害がある人に向いてる仕事
不安障害がある人に向いてる仕事には、どのようなものがあるのでしょうか。
詳しく見ていきます。
- システムエンジニア
- Webライター
- 工場内作業
向いてる仕事①システムエンジニア
システムエンジニアの仕事は、クライアントと打ち合わせを行い、希望のシステムを作るための第一歩となる設計図を作ることです。
ほぼフルリモートで働ける環境が整っている企業も多く、スキルや経験をきちんと身に付ければフリーランスとして活躍することもできます。
パソコン操作のみで進められる業務が大半を占めるため、人と接することで過度の不安や恐怖を感じることが多い不安障害の人に向いてる仕事だと言えるでしょう。
向いてる仕事②Webライター
Webライターの仕事は、クライアントの希望に沿った文章を執筆することです。
一定のリサーチ力と文章力が必要にはなるものの、一度スキルを身に付けてしまえばシステムエンジニア同様、フリーランスとして働くことができます。
中には、ライティングだけでなく取材を伴う業務内容であることもあるので、事前に確認したほうがいいでしょう。
向いてる仕事③工場内作業
工場内作業にはピッキングや検品、梱包、出荷、検品とさまざまな仕事があります。
座ってできる仕事も多いため、体力的な面で心配する必要はないでしょう。
現場によってはチームで連携して進めるワークスタイルを取り入れていることもあるため、仕事内容だけでなく取り組み方についても事前に確認したほうが安心です。
不安障害がある人に向いてない仕事
不安障害がある人に向いていない仕事には、以下のようなものがあります。
- 営業
- 事務
- 接客業
いずれも、人と接することが多い仕事です。
営業と接客業は、不特定多数の人と関りながら仕事を進めることが多いため、不安障害の症状が落ち着くまでは避けたほうがいいでしょう。
また、事務の仕事は電話対応や来客対応、データ入力と幅広い業務内容になることが多いため、任せる業務の線引きができない職場ではおすすめできません。
不安障害がある人が働きやすい環境を作るコツ
職場に不安障害がある人がいる場合に、悩むことが多いのが環境づくりです。
ここでは、不安障害がある人と現場で働くスタッフ、それぞれがやったほうがいいことをご紹介します。
不安障害がある人がやったほうがいいこと
不安障害がある人が働きやすい職場環境を作るために、当事者は以下のことをやっておいたほうがいいでしょう。
- オープン就労とクローズ就労どちらにするか決める
- どんな配慮が必要なのか会社に事前に伝えておく
- 障害者枠で雇用を希望する場合、変更できるのか会社に問い合わせる
悲しいことですが、不安障害に偏見を持つ人はどこにでもいます。
それが気になる人は「オープン就労」で働くことは難しいでしょう。
クローズ就労は周りに不安障害であることを知らせずに働くことになるため、病気の症状が出た際に周りが受け入れることができず、動揺してしまう可能性があるといったことはきちんと理解しておかなければいけません。
どちらにするかは、それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで決めることをおすすめします。
また、無理することなく働ける環境を作るには、少し勇気が要りますが会社に直接どんな配慮をして欲しいのか伝えておくとスムーズです。
現場で働くスタッフがやったほうがいいこと
不安障害がある人と共に働くスタッフは、以下のことをやっておくと当事者にとって働きやすい環境づくりに繋がります。
- 不安障害とは何かを正しく理解する
- 症状に合わせて任せる業務を決めておく
人によっては、「不安障害」という病気があること自体を知らないこともあります。
職場では不安障害の基本的な部分だけでもいいので、正しい知識を共に働くスタッフに伝えるようにしましょう。
また、不安障害の症状は人によって異なるため、症状に合わせて任せる業務を事前に決めておくことをおすすめします。
不安障害がある人が働きやすい職場づくりを目指そう
今回は、不安障害がある人に仕事を提案する際の注意点や向いてる仕事、働きやすい環境づくりのコツをご紹介しました。
不安障害がある人が長く働ける職場を作るためには、現場の上司や同僚の理解が不可欠です。
まずは、本人がどのような働き方を望んでいるのか話し合い、希望にできるだけ沿った仕事を提案することが重要だと言えるでしょう。